賃貸物件を借りる際に、色々な名称のお金をよく分からないまま支払うことになるのは不安ですよね。そもそも、どう違うのか、いくらくらい支払うものなのかも知っておきたいところでしょう。また、今の段階では契約に至るまでにキャンセルする可能性があるかもしれない場合、払ったお金が戻ってくるのかも心配です。
今回は賃貸物件を借りる上で必要になる、「申込金」と「契約金」の違いや、それぞれのお金の相場、支払うタイミングなどについて詳しくご紹介します。
申込金は必ずしも支払いが必要とは限らない
気に入った賃貸物件の入居申し込みを希望した際、その物件を仮押さえするためや、新築などの人気物件に対して安易な申し込みを防ぐ目的で支払う必要があるのが入居申込金です。不動産会社やオーナー、物件の条件によっても違いはありますが、目安としては家賃の約1ヵ月分、もしくはそれ以下というところが多いようです。あまりに高額な相場以上の金額を求められ、それを断って対応が悪くなるような場合は、その不動産会社での契約は考え直した方が良いかもしれません。
ちなみに、あくまで「仮押さえ」するためのお金なので、このお金を払ったから入居審査が通りやすくなるというわけではありません。
契約金とは、契約成立時に支払う初期費用の総称
一方で契約金というのは、アパートやマンションなど民間の不動産の賃貸借契約をするときに必要になる初期費用の総称で、主な内訳は下記のとおりです。
≪契約金の主な内訳と相場≫
①敷金(保証金):家賃の約2~3ヶ月分
②礼金:家賃の約1~2ヶ月分
③仲介手数料:家賃の0.5~1.05ヶ月分
④前家賃:家賃+管理費の約1ヶ月分
⑤火災保険料:約2万円前後
⑥保証料(保証会社を利用する場合)・消毒料・鍵の交換料など
地域や不動産会社、オーナーの方針によって名称が異なる場合もありますが、およそ①~⑤はほとんどの場合が必ず必要となります。もっとも、敷金・礼金無しという物件も最近はあるので、一概には言えません。
ですが、賃貸借契約を結ぶ際には一般的に、「家賃の約6ヵ月分」が必要になるといわれています。この「家賃の約6ヶ月分」とは、①②④の大家さんに支払う金額(敷金・礼金・前家賃)の分を指していることが多く、それ以外に③⑤⑥のお金も必要となることを覚えておきましょう。
⑥については不要な場合もありますが、入居者の希望や状況、物件の状態により、必要となることがあります。これらは契約時に詳しく説明があるかと思いますので、不明な場合はしっかりと確認しておきましょう。
申込金・契約金について知っておくべきポイント
申込金(預かり金)は戻ってくる
申込金はほとんどの場合、本契約で必要となる敷金・礼金など契約金の一部として充てられることになります。また、何らかの理由で入居希望をキャンセルした場合は、申込金は全額返還されることが法律で定められています。
不動産会社の初期費用の概算に注意
初期費用の概算を表示する際に、あえて前家賃を含めずに表示して、あたかも他の不動産会社よりも安いように見せかけるという不動産会社があります。合計の値段だけで判断せず、初期費用の項目に前家賃がちゃんと含まれているかも確認するようにしましょう。
申込金・契約金を支払うタイミングと注意点
≪申込金≫
入居申し込みの際に、支払うことになります。申込金(預り金)というのはただ「預ける」だけのお金なので、「領収証」をもらう必要はありませんが、その代わりにお金を預けた証明として、「預かり証」を発行してもらうようにしましょう。大手の不動産会社の場合は問題なく対応してもらえると思いますが、不動産会社によってはこちらが要求しないと発行しないようなところもあるので注意しましょう。
「預かり証」には、そのお金の目的や、預かり期間、相手の会社あるいは担当者名義の印鑑が押されているか、日付に間違いはないかなどをその場で確認し、本契約を終えるまでは、しっかりと保管しておくようにしましょう。
≪契約金≫
基本的には、入居審査の返答後に重要事項説明を聞き、その後に契約金を支払うという流れになります。手続きの都合上、契約書に判を押す前か、あるいは同時に契約金を預かることもあるので注意しましょう。契約金はかなり高額ですから、不動産会社によっては契約金を直接持参するのではなく、契約前日までに指定口座に振り込んでください、と指示がある場合もあります。支払った費用の領収証や振り込みの控えは、忘れずに受け取り、大切に保管しておきましょう。
さいごに
宅建業法では重要事項説明を行うまで契約金は預かってはいけないことになっていますので、それより先に支払いが発生するということはありません。(申込金はあくまで預かるだけのお金なので、この条件には当てはまりません)。
万が一、重要事項説明を行う前に契約金の支払いを求めるようなことや、重要事項説明自体、しないところがあれば、その不動産会社は法律違反していることになるので気をつけてください。重要事項説明は非常に重要ですので、疑問点や不明な点があればその場で質問し、きちんと理解、納得してから契約するようにしなければなりません。契約金は重要事項説明を聞いたあとに支払うようにしましょう。