安易な仮押さえは禁物?
賃貸の申込金トラブルを防ぐ豆知識

気になる物件を見つけた際、不動産会社から「仮押さえしましょうか」と提案されたことはありませんか? 「仮押さえ」というと、まだ正式な契約では無いと勘違いして、つい安易な気持ちで依頼してしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、実はこの場合の「仮押さえ」というのは、「入居申し込み」を行い、入居審査を受けると言うことを意味しています。

また、最近は不要なケースがほとんどですが、一部の不動産会社では「申込金」(申込証拠金)として金銭の支払いを求められることもあります。これは借り主の意思確認を目的とするもので、申込金が支払われた物件は他の入居希望者に紹介することはできないので、実質優先はされますが、もし契約が成立しなかった場合(審査に落ちた、あるいはこちらの都合でキャンセルした)に、返還を巡ってトラブルになりやすいです。

今回はこうしたトラブルを避けるために、申込金とはどういう時に支払うものか、支払う際に気をつけたいポイントについてご紹介します。

申込金が必要となるのはどんな時?

申込金は不動産会社や賃貸物件、入居時期によって申込金を求められたり求められなかったりします。もっとも多いケースとしては、建築中の新築物件や、退去前で入居が少し先であるという場合で、例えば入居日が1ヶ月以上先である場合などは、お部屋を抑えておく代わりに、申込金が必要となります。大家さん側としては、せっかく早くから部屋を抑えておいたのに、直前になってキャンセルされると大きな機会損失になるため、少しでも申し込みのハードルを上げておこうというわけです。また、入居時期が先ではないが、不動産会社や大家さんの方針で必要となるケースも稀にあります。

どちらにしても、どうしてもこの物件がいい!という強い希望の場合であれば、特に問題ありませんが、まだ決めかねているという場合はもう少しよく検討してから申込を支払うようにしましょう。

申込金と手付金の違いに注意!

申込金は契約になってもキャンセルになっても返還する事が法律で定められています。多くの場合は返金と言うよりは契約金の一部として充当されます。

トラブルになりやすいのは、こちらは「申込金」(他に「内金」「予約金」などさまざまな名称があります)として支払ったのに、不動産会側では「手付金」として扱っていて、キャンセル時に返金に応じてもらえないというケースです。

賃貸契約の前に何らかの金銭を払うように要求されたら、本当に必要なものなのか、どのような名目(申込金、手付金など)なのか、キャンセルの場合は全額返金されるか、契約成立後はどう扱われるのかなど、よく確認しましょう。また、もし支払う事になった場合は、必ず預かり証をもらい、希望すれば返却されることを確認するようにしましょう。ここで渋るような不動産会社は、その時点で取引を辞めた方がよいでしょう。

「預かり証」には決まった形式はありませんが、もし市販の領収証を使用した場合は「預かり証」と加筆訂正をお願いし、お金の名目や預かり期間、担当者名、金額を明記してもらいましょう。

「申込金」の相場と支払うタイミングは?

基本的に申込金は、賃貸物件の申込書提出と同じタイミングで要求されます。
不動産会社によって請求金額は変わってきますが、「申込金」の相場としては、だいたい1万円~家賃1ヶ月分以内が目安となります。仮押さえ後にそのまま契約が成立した場合は、仮押さえ金はその後に支払う敷金・礼金などの契約金の一部として当てられるのが一般的です。キャンセルした場合や入居審査に落ちた場合は、支払った金額が返還されます。

「申込金」が返還されないケースとは?

賃貸契約前にキャンセルした場合は、基本的に「申込金」(預かり金)は全額返還されますが、念のため前述した「預かり証」を発行してもらい、きちんと保管しておくようにしましょう。

契約書に署名捺印した後のキャンセルに関しては、返してもらえないと思った方がよいでしょう。契約書の内容によっては、違約金が発生することもあるので、契約する際は慎重に検討し、きちんと納得した上で署名捺印するようにしましょう。

また契約以前でも、入居審査に通過し重要事項の説明を受けた場合、契約の意思があったとして「申込金」(預かり金)の返還に応じてくれないところがあります。重要事項説明は必ずメモを取り、気になる点についてはしっかりと質問しましょう。また、可能であれば事前に契約書のコピーをもらい、細かいところまでチェックしておくことをオススメします。 ちなみに契約書の内容と重要事項説明の内容が異なっていた場合は、契約書の内容が優先されてしまいますので、もし違っていた場合はその旨を不動産会社や家主に伝え、修正するなどの対応をとってもらうようにしましょう。

さいごに

契約前にお金を支払うことになった場合は、まずその目的を確認し、支払う際には領収証ではなく、必ず「預かり証」を発行してもらうようにしましょう。

なお宅地宅建取引業法では、仲介業務において不動産会社が申込金など一時預かり金の返還を拒むことを禁止しています。もし契約成立前にキャンセルしたにも関わらず、申込金が返金されない場合は、その市区町村の不動産窓口に相談するといいでしょう。

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