入居不動産会社によっては、賃貸の申込時に必要となる「申込金」。ほぼ家賃1ヶ月分相当のお金なので、もしも契約が成立しなかったり、キャンセルすることになったりした場合、このお金はちゃんと返金してもらえるか、気になりますよね。まだこれから入居申し込みをされるという方は、この「申込金」というお金がどういう目的で、どのように使われるものなのかも知っておかれるとよいでしょう。
今回は「申込金」と「入居申し込み」についての詳しい説明や、賃貸の契約が成立しなかった際に申込金の払い戻しが可能かどうかについて、詳しく解説していきます。
まずは「申込金」について知っておこう
①入居申込と申込金について
気に入った物件が見つかれば、まずは「入居申込み」をすることとなります。入居申込は、部屋の貸主に対して「この部屋を借りたい」という意思表示を行う手続きですが、申し込みを行った時点では、まだ必ずその部屋が借りられるというわけではありません。
入居申込があれば、そこに書かれた申込者本人とその連帯保証人の情報を元に簡単な審査が行われ、部屋を貸しても問題ないと貸主(大家さん)が判断した場合に、賃貸借契約を結ぶこととなるのです。
契約成立までの流れは、だいたい下記のような感じです。
①部屋を探す
②入居申込み
③入居審査
④重要事項説明
⑤本契約
この②の申込時あるいは③の入居審査中に支払うことがあるのが「申込金」です。「申込金」以外に手付金・予約金・預かり金・内金というような名目で金銭を要求される場合があります。
注意しなければいけないのが、賃貸物件で契約成立前の入居申込みをするために必要なお金としては「申込金」あるいは「預かり金」といった名目でなければならず、これらの名目のお金は審査が通った場合は契約する際の契約金の一部に充当されるお金ですので、入居審査に通らなかった、あるいは審査に通ったがキャンセルするという場合は全額払い戻しされなければいけません。
よくあるのが、「手付金」など、他の名目で入居審査時にお金を支払ってしまい、後で返金に応じてもらえないというトラブルです。
②手付金とは何か
本来「手付金」というのは不動産の賃貸契約では無く、売買契約の際に代金の全部、あるいは一部として、契約締結後に物件の引渡しまでの間に支払うお金のことを意味します。
契約時に契約金を全額支払ってもらうことの多い賃貸物件の契約では、一般的に手付金を要求することは少なく、知識不足の不動産会社が、入居申込み時に要求する「申込金」や「預かり金」のことと混同して、「手付金」と言っているケースが多いようです。
ただし、物件によっては入居申込み時に支払う「申込金」あるいは「預かり金」が、審査が通れば「手付金」として扱われる場合もありますので、必ず事前にキャンセルした場合に返還されるのかを確認しておきましょう。
「申込金」トラブルを避けるための注意点
◎払いたくない場合は払わなくて良い
申込金は、あくまで申込順位確保を目的として一時的に預けるお金なので、支払う義務があるものではありません。特に東京都などでは預かり金を要求しないよう、不動産会社を指導していますので、都内でお部屋探しをされている方は覚えておきましょう。
また、仮押さえの目的以外に、管理会社の方針や、貸主の意向により申込金が必要となっている物件もあります。その場合でも、まだその物件に決めかねているという場合は、無理に払う必要はありません。不動産会社としては少しでも早く入居申し込みをしてほしいと迫ってくることもありますが、最終的にその部屋に住むのはあなた自身なので、後悔の無いようにじっくり検討しましょう。
◎支払う場合は「預かり証」を発行してもらう
どうしても申込金を不動産会社に預ける必要が生じた際には、一時的に預けるだけのお金であることを明確にするため、「領収証」ではなく必ず「預り証」を発行してもらいましょう。
預り証には「いつまで、何の目的で預けるのか」、「預けておく期間が過ぎた場合は必ず返金される」ということを明記してもらいましょう。くれぐれも「手付金としてお預りしました」などと書かれていないか、注意してください。「手付金」として預けた場合、キャンセル時に返金に応じてもらえない可能性があります。
なお、預かり証にはお金を預ける相手(不動産会社名、担当者名)の押印を依頼し、預けた日付もきちんと記載してもらうと安心です。
また、お金を預ける相手の会社、担当者の記名・押印を依頼し、預けた日付も記載してもらうとよいでしょう。
さいごに
「預かり金」はどんな場合でも必ず返金されるとは言えません。不動産会社の宅地建物取引士(宅地建物取引主任者)から重要事項の説明を受けたかどうか。その説明書面を交付されたかどうか、そのうえで貸主が「貸します」という賃貸契約の意思を示したかが判断のポイントとなります。契約書に判を押す前でも、これらの条件を満たしてしまっている場合は、返金されないので注意しましょう。
「申込金はキャンセルになった場合は、もちろん返金しますよ」と言ってくる不動産会社が多いかと思いますが、口頭でのやりとりだけでなく、「預かり証」などきちんと書面に残しておくことがトラブルを避ける上で重要です。